インプラント治療の寿命

インプラント治療の寿命

図1 (他医院で13年前にインプラント治療を受けた方、その当時はインプラントの治療部分以外は歯があり、インプラントの部分を部分入れ歯の代わりに治療を受けられたとのこと) インプラント治療の寿命については、様々な情報を目にしたり、聞かれたりすることがあると思います。 インプラントの治療をすでに受けられた方は、その方自身が体験して、すでに個人的に感想をお持ちだと思います。(最新のインプラント治療は治療を受けられた当時と違う場合もあります) また、これからインプラントの治療を受けられる方は、実際にどのようなものかお知りになられたいと思われていると思います。インプラント構造6175720 (3) インプラント構造6175720 (2) インプラント治療の寿命を詳しくみていく際に、まず、インプラントの構造的なものから、インプラント治療の歴史までを考えながら、インプラント治療に対する捉え方を深めれば、治療の寿命を考えるのに結びつく、インプラント治療の将来的な予測ができるとのではないかと考えます。 インプラントは、基本的に、

  • フィクスチャー(インプラント)
  • アバットメント(連結部)
  • クラウン(人工歯)

の3つの構造体から一本の歯になっています。そして、それらは、

  • フィクスチャー(インプラント)  材料(チタン)
  • アバットメント (連結部)    材料(チタン、金合金、ジルコニアなど)
  • クラウン (人工歯)       材料(セラミック、金合金など)

などから成り立ちます。 そして、これらの材料は、基本的に、物質として、口腔内の厳しい様々な条件の中でも、半永久的に腐食したり、変質したりすることはありません。 しかし、金属やセラミックという物質のために、半永久的に安定して存在する場合もあれば、破損したり、壊れたり、折れたりすることも、耐久性や金属疲労やなどのためにあります。 それでは、インプラントは一生持たないものなので、危険な治療であるとか、失敗したら大変なことになるとか、治療を受ける価値や意味がないというものではないかということになりますが、そういうものではないということです。 インプラント治療の価値や意味を考えた場合、インプラント治療がもし存在しなければ、人類は、永久歯を一旦失ってしまった場合、再生させることはできずに、入れ歯治療でしか歯を取り戻したり、回復することしかできなかったのです。そのために、古来、歯を失った人々が様々な工夫をして、抜けた歯を固定したり(古代エジプトなどの遺跡で発見されている)、木を削って入れ歯を作ったり(江戸時代などに盛んであった)、アメリカの初代大統領であるジョージワシントンが使用していたとされるスプリング付きの入れ歯などを使用したりして日常生活の食事、会話、などに工夫を凝らしてきたと考えられます。 そこに、目覚ましい、歯科医学の進歩発達により、インプラント治療という、失った歯を再生させることに等しい画期的な治療が登場したのです。 インプラントの治療が臨床(日常の治療)に用いられるようになって、すでに約半世紀がたちます。 その間に、歯を失ったことによる様々な問題や悩みを抱えた患者さんたちの生活の質の向上に大いに貢献する治療として、更に、その治療を受ける患者さんの人口や治療の数が、世界的に増えていったと考えられます。 インプラントが臨床(日常の治療)に用いられるようになったこの、半世紀の間に、インプラントは第一世代、第二世代、第三世代、第四世代と進化してきています。 第一世代のインプラントはチタンが骨と結合し、固定することで、顎の骨に人工歯根(チタンのインプラント)をいれ、入れ歯を固定して、一度失った歯をもう一度取り戻し、よりしっかり噛める歯にすることを可能にしました。 第二世代のインプラントは、インプラントの手術や処置の術式がより容易になり、患者様の手術負担が減り、より臨床的に安全で身近な治療を可能にしました。 第三世代のインプラントは、安全で安定した治療として確立し、更に、審美性もほとんど天然の歯と見分けがつかないぐらいのクオリティーが満たされる治療を可能にしました。 第四世代のインプラントは、安全で安定し、審美性も高く、更に手術の負担が格段に少なくなり、また、歯を抜くと同時に歯を入れることが可能になりました。 そして、様々な問題を解決、改良し、すで第3世代で完成の域に達して現在に至っています。 自動車が一般的に作られ普及し始めて、一世紀ほどになりますが、急速な発達と普及により、半世紀程で完成の域に達し、現代の車は、道具としての必要条件以上の進歩や発達が見られるのと似ていると考えられます。 つまり、インプラント治療自体の寿命は、十年、数十年という単位で、失った歯の再生、代替えとして、ほぼ安定することも、証明され、人間の寿命の中の、生活の質の向上に十分値する治療になっています。 結論から言えば、、インプラントの寿命に関しては、一般的に見て、ほぼ、他の永久歯と同じ程度の寿命があるととらえられると考えられます。 しかし、実際に、インプラントが、何年かしか持たなかった、インプラントをした後、何年かでインプラントがグラグラしてきた、インプラントが抜けたなど話もよく聞かれるため、インプラントの寿命に対して、不安が生じ、インプラント治療自体に消極的になったり、マイナスの面が強調されることがみられる原因になっていると考えられます。 これは、個々の場合にばらつきが生じる原因があり、インプラント自体の寿命ではなく、インプラント治療の寿命(インプラント治療の予後)を左右する条件として、インプラント治療を受ける方の、体(全身的健康状態、お口の健康状態、治療部分の骨の健康状態など)の条件、インプラント治療をする術者の条件、インプラントの治療後を管理する歯科医院と患者様自身の条件が主にインプラントの寿命を決めるものになります。

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